映画『北の桜守』 3月10日(土)公開

桜守とは…

地域に根ざし、一年を通して桜の保護育成に従事する人々を「桜守」と呼ぶ。 桜は他の植物に比べて病害虫や公害、腐朽病害に弱いため、異変には迅速な対処が求められる。そのため継続的に見守り、手をかけてやる必要がある。この保存活動は庭師や樹木医だけでなくボランティアによっても担われている。

桜守とは…

INTERVIEW【桜守指導】森田和市さん(日本花の会 桜の名所づくりアドバイザー)

桜守とは…

——桜守指導として、本作の製作にどのように携わったのですか?

森田「当初脚本には『桜の苗を植えた』と書かれていたので、滝田監督に『山桜は種から蒔くんですよ』とお話ししました。監督も美術部の方も驚いたようで、その後台本も修正になりました」

——北海道が舞台の本作には、北海道で一般的なエゾヤマザクラが登場します。どんな特徴のある桜ですか?

森田「400種以上あると言われている桜の中で、遅咲きのエゾヤマザクラは寒さに強く堅牢。自生種の中では、花の赤みが濃いのも特徴ですね」

——時代考証的な確認作業もありましたか?

森田「1970年代には、まだ木の傷口につける水和剤はありませんでした。当時は赤土や墨を塗っていましたから、作中でてつが枯れかけた桜の木を手当するシーンでは、墨と糊を使った方が自然な方法だとスタッフにお話ししました。墨には防腐効果に加え、消毒効果があるんです」

——桜守となって50年の森田さんが考える桜守という仕事とは?

森田「『桜守』とは、桜が好きだ、桜のためなら何でもしてやろうという気持ちが直接表れた行動だと思っています。この映画をきっかけに『桜守』という役目に理解が深まり、桜を保護しようという機運が高まってくれれば望外の喜びです」

日本各地の桜守

【 弘前公園 】橋場真紀子さん(弘前市都市環境部公園緑地課チーム桜守・樹木医)

橋場真紀子さん

以前は東京で別の仕事をしていましたが、地元に帰り一生の仕事をしようと考えたとき、植物に関わる仕事をと思い樹木医を志しました。弘前公園には樹木医がいると知り飛び込みで指導をお願いしたのが、弘前公園で働くようになったきっかけです。女性の「桜守」は少ないでしょうね。桜を主に診る樹木医、という意味では特に。
弘前公園の桜の特徴は、桜からこぼれんばかりの圧倒的な花のボリュームです。加えて樹齢100年を超えるソメイヨシノが約400本も残っています。昭和30年代から手入れを続けてきた証拠と言えます。桜は通常あまり剪定を行いませんが、弘前では「弘前方式」と呼ばれるりんごの管理に倣った剪定を行い、花が終わるとすべての桜に肥料を施し成長を促しています。チーム桜守一丸となって桜を守り育てています。
桜は私にとって“故郷”のような存在です。子供の時も大人になってからも毎年必ず咲きほこり、常に受け入れ包み込んでくれる。この先も桜を守ることで同じように感じてくれる人が増えると嬉しいですね。

青森県弘前市「弘前公園の桜」

青森県弘前市「弘前公園の桜」<

品種:ソメイヨシノ、ヤエザクラなど
開花期:4月下旬から5月上旬
解説:日本最古とされるソメイヨシノをはじめ、春の園内には約2,600本の桜が咲き誇る。2018年で100周年を迎える弘前さくらまつりは、4月23日から5月5日まで開催。日本三大桜名所にも数えられている。
公式HP:http://www.city.hirosaki.aomori.jp/

【 三春滝桜 】小松茂行さん(滝桜保存会会長)

小松茂行さん

生まれも育ちも三春。滝桜と共に育ちました。子供の頃は滝桜に登って遊んでいたくらい身近な存在。滝のような枝垂れが特徴で、昔は綺麗な紅枝垂れでしたが今は花が白くなってきています。
保存活動は歴代の老人会が樹木医の方から指導を受けて行っています。昔は滝桜の周りが畑で栄養も豊富。だからこそ1,000年以上も生きることができたのでしょう。今はその辺りは広場。雑草に栄養を奪われないように月に一度は草取りをします。春は枯葉を集めて、山で腐葉土にし、11月頃から根の周りに穴を掘って入れます。さらに、雪が降れば、雪下ろしもします。震災の翌年には、被災されて避難してきた方々とお花見も開いたんです。皆さん、凄く喜んでくれました。
また、毎年滝桜近くの小学校に通う子供たちが種を拾い、育てています。そして、その滝桜の子孫が世界中様々な場所で植樹されています。今の子供たちは登ったりはできないけれど、育てることで滝桜と触れあっているんですね。

福島県三春町「 三春滝桜 みはるたきざくら

桜守とは…

品種:エドヒガン系紅枝垂桜
開花期:4月中旬頃
解説:日本三大桜の1本。国の天然記念物として指定を受けており、樹齢1,000年以上と推定される名木。岐阜の薄墨桜と併せて東西の横綱と称される。
公式HP:http://miharukoma.com/

【 根尾谷淡墨桜 】林 進さん(樹木医学者)

桜守とは…

初めて淡墨桜を見た時、とても弱っていると思いました。なぜ弱っているのか、どう生きているのかに興味があり、47年前から看続けています。
この樹は、何か手をかけるとそれに対する反応がとても速いんです。高齢な木ですが常に若々しい生命力を保っており、生きる力をいつも示そうとします。まさに「命の木」。花は咲き始めが濃いピンクで段々淡くなります。
冬の花芽の成熟、春の花の散り方や、夏の葉の開き方・秋の散り方を看て、元気がない枝を確認します。また、秋から雪が降るまでに根の状態を看て、弱っている箇所を診断します。さらに、微生物を使い土壌を発酵状態にし、木に有用な栄養分を作らせる私の独自の方法で木の生命力を上げる処置もしています。
桜には同じ生物としての縁を感じます。春に花咲き、散り、緑いっぱいになり、葉が落ちて冬に耐える。季節のリズムを刻む生命体です。私には、友達であり、恋人であり、子供であり、桜の世界に導いてくれる仲間ですね。

岐阜県本巣市「 根尾谷淡墨桜 ねおだにうすずみざくら

桜守とは…

品種:江戸彼岸桜
開花期:4月初旬から中旬
解説:日本三大桜の1本。樹齢約1,500年。蕾の時は薄いピンク、満開に至ってはつややかな白、散り際には淡い墨色になる。国の天然記念物指定。
公式HP:http://www.city.motosu.lg.jp/sight/usuzumi/

©2018「北の桜守」製作委員会